アンテベート

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アンテベートの効果と副作用について

1993年から販売されているアンテベート軟膏・クリーム・ローションは、ステロイド剤にと言われるお薬です。
アンテベートはステロイドの入った外用薬で、主に皮膚の炎症を抑える目的で使用します。
全身に作用する飲み薬とちがって、塗った部分のみに作用するため安全性にも優れていると言えます。
こちらではアンテベートの特徴や、どのような疾患に向いているのかを詳しく解説いたします。

アンテベートの特徴

アンテベートはステロイド剤の中でも、皮膚に直接塗る外用薬です。
いくつもの種類があるステロイド外用剤の中でも、こちらのアンテベートは非常に強力な効果があるとされる部類に分類されています。
ステロイド外用薬の働きは、主に次のようなものです。

  • 炎症反応を抑える
  • 免疫反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドの働きの仕組みとしては、身体の免疫反応を抑える事によって、炎症反応も抑えます。
それによって皮膚炎や湿疹、またアレルギー症状が改善されます。

外用ステロイド剤には次のように強さが5段階設定されていますが、こちらのアンテベートは上から2番目の「非常に強力」という部類です。

  1. 最も強力  :デルモベート、ダイアコートなど
  2. 非常に強力 :マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
  3. 強力    :ボアラ、リドメックスなど
  4. 中等度   :アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
  5. 弱い    :コートリル、プレドニンなど

ステロイド剤は高い抗炎症作用があるため炎症はしっかりと治まりますが、長期間使用すると副作用が出るという問題もあり、その使用は慎重にかつ適切に行われる必要があります。

強いステロイド剤は効果は高いけれど副作用が出てしまう危険度は高くなり、逆に弱いステロイド剤であれば、炎症を抑える作用は穏やかになりますが、その分副作用も出にくくなるのです。
その中でアンテベートの効き目は非常に強いとされているものですので、使い方には注意が必要になります。

これはアンテベートだけの話ではなく、全てのステロイド剤について言える話ですが、ステロイドは長期間に渡り漫然と使用し続けてしまうと、免疫力を低下させたり、皮膚の細胞を増殖させるのを抑制させてしまう事につながります。
それにより皮膚が通常よりも薄くなり、細菌などに感染しやすくなるといった副作用が出る可能性があります。

強力な作用を持つとされるアンテベートの使用の際も、この事には十分留意する必要があります。
医師から指示された使用期間を守り、勝手に使い続けるといった事は避けて下さい。

これらのことから、アンテベートの特徴をまとめると次のようになります。

  • 非常に強力なステロイド剤である
  • ステロイドの中でもしっかりした効果がある
  • 炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
  • 足の裏、背中など皮膚が厚い部位でも効果を得やすい
  • ステロイドなので、長期間使用による副作用に注意

アンテベートはどのような疾患に使うのか

アンテベートは強力なステロイド剤であることはわかりましたが、実際にどのような疾患に使用するお薬なのでしょうか。
添付文書によると、主に次のような症状に用いるようです。

  • 湿疹
  • 皮膚炎群
  • 乾癬
  • 虫さされ
  • 薬疹・中毒疹
  • 痒疹群
  • 紅皮症
  • 扁平紅色苔癬
  • ジベル薔薇色粃糠疹
  • 掌蹠膿疱症
  • 特発性色素性紫斑
  • 水疱症

その他にも皮膚に炎症がある場合や、皮膚が厚くなってしまった時などに、アンテベートを使用する事で改善の効果を期待できます。

皮膚炎群と呼ばれる症状は具体的には、進行性指掌角皮症や脂漏性皮膚炎等があります。
難しい言い方をしていますが、進行性指掌角皮症とはいわゆる手荒れの事です。
水仕事などを多くして手が荒れて皮膚が傷つき炎症を起こすことです。
また脂漏性皮膚炎というのは、皮膚や皮膚の脂を好むマラセチアと言う菌により、毛穴が詰まり炎症が起こる症状です。

扁平紅色苔癬という症状もあまり聞き慣れませんが、これはかゆみを伴った小さな発疹が合わさって盛り上がり、うろこのような状態になる皮膚疾患です。
このような症状には、アンテベートは大変効果があります。

掌蹠膿疱症というのは、自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、免疫力が何らかの理由によって誤作動し、自分自身を攻撃する病気です。
掌蹠膿疱症は、そのせいで手足に膿胞ができてしまいます。
同じく自己免疫疾患であるサルコイドーシスという症状もあります。
これは全身の臓器に肉芽腫や血管炎が発生してしまいます。

アレルギー疾患や自己免疫疾患には、アンテベートの免疫力を低下させる作用によって、症状の改善が期待できます。

さらに乾癬という症状は、一部の皮膚の細胞が通常よりも増殖してしまって赤く盛り上がってしまうものです。
このような症状には、アンテベート(ステロイド)の持つ皮膚細胞増殖を抑える作用が効果的です。

ストロイドの注意点として、免疫を抑制するので、細菌やウイルスに感染して炎症を起こしているような場合は使用は勧められません。

アンテベートの作用

大まかに言うと皮膚の炎症を抑える作用を持つアンテベートですが、具体的にはどのような作用があるのか解説します。

抗炎症作用

ご説明して来たように、アンテベートはステロイド剤になります。
ステロイドには炎症を鎮める強い作用があります。
短い期間で、腫れや赤みなどの炎症を取り、かゆみや痛みもやわらげることが出来ます。
ただし、症状を取る対処療法であり、病気の原因となるものを治すわけではありません。
皮膚が良い状態になる事によって、かきむしったりして更に悪化するのを防ぐことができます。

免疫抑制作用

様々な作用を持つステロイドですが、その中のひとつに免疫を抑制するというものがあります。
免疫と言うのは、身体に異物が侵入してきた際、それを攻撃してやっつけようとする生体システムです。
皮膚に細菌やウィルスが入ってこようとしたならば、それを退治するような細胞をそこに送り込み、身体の中に侵入するのを妨げます。

この免疫の仕組みは、人間にとっては大変重要なものではありますが、逆に免疫反応が過剰になり過ぎることによって、自分自身の身体を傷付けてしまうというような事があるのです。

その代表ともいえる症状がアレルギーです。
アレルギー反応というのは、本来無害である物質に対して、敵だと誤った認識をして攻撃してしまう反応です。
例えば花粉症、これは花粉という特に身体に害のない物質に対して、有害だと間違って判断し、攻撃を開始します。
それによって、鼻水やくしゃみ、咳、発熱などの症状が身体に現れてしまいます。

これが皮膚に現れるのがアトピー性皮膚炎です。
皮膚の免疫が攻撃する必要のない物質を誤った認識によって攻撃する事によって、皮膚に炎症が起きてしまいます。

ですからこれらは過剰な免疫力を抑えれば、症状が改善するという事です。
ステロイドには免疫を抑える作用があるため、これによって炎症が改善します。

炎症と言うのは、皮膚が赤くなる・腫れる・熱くなる・痛みを感じるといった状態になることです。
アレルギーだけでなく傷が出来たりする事によって生じる炎症も、アンテベートは抑える作用があります。

皮膚細胞の増殖抑制作用

アンテベートのようなステロイドの外用薬には、塗布した部分の皮膚の細胞増殖を抑える作用があります。
これも一般的はステロイドの副作用で、強力なステロイドを長い期間に渡って塗り続けると、皮膚が薄くなってしまいます。

しかし逆に皮膚が厚くなってしまう疾患には、この皮膚の細胞増殖を抑える作用が、症状の改善につながるのです。

アンテベートの副作用

アンテベートはステロイドではありますが、塗り薬なので局所的な使用なため、副作用の発生率は1.33%~3.39%と、決して多くはありません。
しかしだからと言って、長期間漫然と使用を続けて良いわけではないので、注意は必要です。
1~2週間程度の使用であれば、ほとんど副作用は出ないものと考えられます。
まれにかぶれが起こったり、しばらくしても良くならずかえって悪化するような場合には早めに受診しましょう。
生じる副作用としては、次のような症状が挙げられます。

  • 毛嚢炎
  • せつ(おでき)
  • 痤瘡様発疹
  • 皮膚萎縮
  • 毛細血管拡張
  • 真菌感染
  • 刺激感
  • ステロイド紅潮
  • 皮膚乾燥
  • 搔痒(かゆみ)

皮膚萎縮や毛細血管拡張・ステロイド紅潮といった症状は、ステロイドを使用する事によって皮膚が薄くなってしまったために起こるものです。
またステロイドを使用すると、免疫力が低下してしまうため、皮膚が細菌やウィルスに感染しやすくなり、真菌の感染などが起こり得ます。
どのケースでも重篤な状態になる事はまれですが、長い期間使い続けるほど、副作用の発生する可能性は高くなりますので、必要な期間のみ使うようにすることが大切です。

またごくまれにステロイドの外用薬を長期に渡って大量に使い続けると、目に大量にステロイド剤が入る事によって、眼圧が上昇して緑内障を生じることがあります。

ステロイド剤を使用する際に注意するべき点としては、免疫力を低下させてはいけない状態に対しては使用しないという事があります。
具体的に言うと、ばい菌に感染しており、免疫力が必要になっている状態です。
特に皮膚結核や梅毒性皮膚疾患、単純疱疹・帯状疱疹なのには使えません。
また重症なやけどや潰瘍、切り傷等にも向いていません。
これらはステロイド剤の使用によって、逆に症状が悪化してしまって、治りも遅くなる可能性があります。
添付文書によると次のような症状の場合、アンテベートは禁忌となっています。

  1. 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
  2. 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
  3. 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
  4. 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

アンテベートの用法・用量

アンテベートは、次のような剤形で販売されています。

  • アンテベート軟膏     : 0.05% 5g  (チューブ)
  • アンテベート軟膏     : 0.05% 10g  (チューブ)
  • アンテベート軟膏     : 0.05% 100g (プラスチック容器)
  • アンテベート軟膏     : 0.05% 500g (プラスチック容器)
  • アンテベートクリーム   : 0.05% 5g  (チューブ)
  • アンテベートクリーム   : 0.05% 10g  (チューブ)
  • アンテベートクリーム   : 0.05% 100g (プラスチック容器)
  • アンテベートクリーム   : 0.05% 500g (プラスチック容器)
  • アンテベートローション  : 0.05% 10g  (プラスチック容器)

このように軟膏やクリーム・ローションといった形状がありますが、それぞれどのような特徴を持っているのか簡単にご説明します。

軟膏というのは、ワセリンなど油が基材になるため保湿力が高く刺激が少ないのが特徴な反面、べたつきがあり伸びが悪いため、気なるという方もいます。

次にクリームは油と水を界面活性剤で混ぜています。
軟膏に比べれば水分が多いので伸びは良く、べたつきも少ないですが、刺激はやや強くなります。

そしてローションは水を中心としてアルコールなど入る事があります。
べたつきはほぼなく使いやすいですが、保湿効果はあまり期待できません。
しかし皮膚への浸透力は高いので、皮膚の厚い部分に使うことが出来ます。

アンテベートの使用方法は、通常の場合1日1回から数回、適量を患部に塗布する事とされていますが、皮膚の状態や場所によって、その回数は異なるので、主治医の指示に従って使用するようにして下さい。
大切なのは、決められた量をしっかり塗る事です。
副作用が心配だからと、自己判断で塗る量を減らしたりしないようにしましょう。
また、塗る前や塗った後には手をよく洗って下さい。
皮膚疾患になっている場所のみに塗り、健康な皮膚に広げないように気を付けましょう。

この薬の使用で病気の原因が取り除かれるわけではないので、塗るのを中止すれば皮膚症状は再び現れる可能性もあります。
特に長期に渡って大量に使用していたケースでは、急にやめると重症な反発症状が起こる危険性があります。
ですからきれいになったと自己判断で薬の使用を中止するような事は決してしないでください。
指示されたように使用を続け、やめる時には医師の診断に従って段階的に弱い薬に変えていくなどする必要があります。

アンテベートの使用期限

アンテベートの使用期限はどの程度なのでしょうか。
以前処方されたアンテベートが家にあるけど、使っても大丈夫かしらと悩む方もいらっしゃるかもしれません。
実際薬の使用期限というのは、保存の状態によっても大きく変わって来るものです。
軟膏やクリームの場合は密閉容器で室温保存、ローションは密閉容器・室温保存に加えて遮光保存
していた場合において、その使用期限は3年とされています。
ただしアンテベートは先程もご説明した通り、非常に強い部類のステロイド剤です。
家にあるからと自己判断で使用するのは、基本的に避けるべきでしょう。

アンテベートが向いている人

アンテベートはどのような人に向いているのでしょうか。
まずはアンテベートの特徴をもう一度確認してみたいと思います。

  • 非常に強力なステロイド剤である
  • ステロイドの中でもしっかりした効果がある
  • 炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
  • 足の裏、背中など皮膚が厚い部位でも効果を得やすい
  • ステロイドなので、長期間使用による副作用に注意

これを踏まえた上で考えると、アンテベートが向いているのは、皮膚の免疫の反応が過剰になっている人や、炎症が生じている人に向いているお薬だと考えられます。

ステロイド剤の中では、非常に強力とされる部類の薬であるため、他の穏やかな効き目のステロイド剤を使用して、効果が出なかった場合に使用を検討される薬でもあります。
ただし、炎症の程度や皮膚が厚くなっている程度が強いというようなケースや、かかとなどの塗り薬が浸透しにくい箇所に起こっている症状に対しては、はじめからこのタイプのステロイド剤をしようする事もあります。

最後にステロイド全般での注意事項になりますが、漫然と使用を続けるのを避け、必要な時にしっかりと指示された量を使い、必要ではなくなったら使わないという使い方をすることが重要です。